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新刊は無事入稿いたしました。
ウヅケイで甘甘SS「カワイイ彼女? カッコイイ彼女?」 お値段は200です。

が、5~7月と仕事が忙しく、仕事と原稿にしか頭が回っていませんでした。
ひとまず、昨日時間のあるときに用意だけしてしまおうと準備したら・・・
「あれ、当落通知、届いてなくね!?」といまさら気づきました、泣きそう。
一応、問い合わせは掛けましたが、期限どころか、直前すぎて諦め。

とりあえず、本が届いてしまうので、会場へは行きますが、サークル参加できないので、
始発で並んでもお昼前とかに現地だと思います。
しかも販売の許可がでるかも不明。

というわけで、見てくれてる人がいるかわかりませんが、
お昼すぎにごゆるりとお立ち寄りいただければ幸いです。

一応、サンプルものっけておきます。ワードからのコピペなので改行など
おかしいかもしれませんが、補間してもらえれば幸いです
入稿後は見直してないので誤字が怖くてよめないw

 最近、桂さんの見ているもの、桂さんの視線の先がとても気になることがある。
 例えば、この前二人で街を歩きながら、他愛もない話をしていると、急に桂さんの反応が無くなったタイミングがあった。そのときの彼女の視線は遠くを見つめており、
「ああいうのもカッコいいなぁ」
 と呟いていた。
 また、桂さんの家にて二人で・・・とはならず、自称保護者二人と合わせて四人で談笑していたときのことだった。
 私と桂さんは買ってきた雑誌のページを1ページずつ、ぺらぺらと捲りながら読み進めていたのだが、ふと桂さんの手が止まり、
「これもいいなぁ」
 なんだかデジャブ、それが私の胸をちくりと刺して、締め付ける。
 雑誌だけではなく、テレビに映る【それ】を見たときも、彼女の視線はその一点を見つめていた。
 そんな姿を見るたびに、胸の奥にちくりと嫌な痛みが走り、そしてその痛みを感じるたびに、ちくりちくりと増していく気がしていた。
 そんな心中の私に対して、またも、
「この俳優の人、かっこいいよねぇ」
 そういって、テレビに映る男性を指差す。
「最近よく見る人よね」
 それに答えるように自称保護者の一人、羽藤柚明が相槌をうつ。
「こんなチャラいのがいいわけ? 現代人は理解できないわね」
 自称保護者B兼ついでにボディーガードのノゾミが、TVに映る俳優の顔を一瞥して、ちいさく溜め息をつく。
「そう? 今、学校でも結構話題にあがるんだよ、かっこいいなぁって」
 ちくりと、またちくりと痛みが胸を刺す。
 そう、桂さんは最近男性に興味を示す言葉をよく口にする。
 まさか私よりも男のほうがいいということ・・・いやいや、そんなことは無いはず・・・
 街中で男性を見ているときの瞳の輝きは、最近私には向けられていない気がするし、モデルの写真を見ているときは、なんだかうっとりしているような気がするし、考えれば考えるほどマイナス方向へ思考が加速していく。
 桂さんの何気ない一言が、ちくり、ちくりと今日もまた私の胸を無意識に刺していく。
 これが桂さんが一緒にいるときだけであれば、まだよかったのだけど、離れているときのほうがより悪い想像が働いていく。
 自室で静まりかえっているのをきらい、TVを点けて気分を紛らわせようとした。リモコンの電源ボタンを入れて、着がえるためにそれを投げ出した途端、最悪なことに桂さんが評していた俳優が映し出されていた。直ぐにリモコンを手離してしまった自分の手を呪いながら、苦虫を噛み潰したような顔で、リモコンを手に取りチャンネルを切り替える。
 しかし、チャンネルを変更しても憎き俳優の顔が脳裏をちらちらと行ったりきたりして、イライラが止まらない。
「こんな男のどこがいいというのか!? ノゾミの言うとおり、こんなチャラいやつのどこがっ!」
 自分で醜いとわかっていながらも、嫉妬と怒りを込めてリモコンをソファの上に投げつける。
 この怒りの次にやってくるのが、焦り。
 もう桂さんに飽きられてしまったのではないか、ひょっとしたらあのときの一言がいけなかったのだろうか、それともデートのコースに問題があったのだろうか、自分の行動を反芻し、ダメだった部分だけが頭のだけで再生される。
 部屋の中を無駄に行ったりきたりしながら、自分の中の思考も迷走を開始していた。ただ、このときは迷走ではなく、必要な思考として捉えていたのが、あとで思い返すと恐ろしい。
 例えば、デートでも手を繋ぐだけで、桂さんと一緒にいるだけで満足してしまっていて、たまにキスをする程度にとどまっていた。
「やはり、あのときもっと押していくべきだったのか」
 正直いつでもあの愛らしい笑顔を見ていると、無性に何かこみ上げるものがあり、それ以上のことをしたいと考えるが、その一線を越える勇気がなく、
「ヘタレ! このヘタレ鬼切り!」
 と強制的にデートの一部始終を聞きだす鬼切りの頭領に、
「そんなことじゃ、桂お姉さんが他の人に取られちゃいますよ!」
 そうダメ出しまでされる始末。
 桂さんが求めるのは女性としての私ではなく、男性というポイションを求めているのだろうか・・・
 そう考えると、男性俳優、特にイケメンと呼ばれている人物を最近ピックアップしているように思えてくる。
 もう少し男性っぽい格好をすればいいのだろうか。
 そう考えて、日ごろはスカートをはいていたのだが、パンツスタイルに変えて、デートへ向かってみたところ、
「そういう格好もいいけど、やっぱり烏月さんは脚が綺麗だから、いつもみたいにスカートとストッキングとかタイツのほうがいいなぁ。けど、たまには新鮮でいいよ。似合ってる!」
 どっちなんだ、どっちなんだい、桂さん!と頭を抱えたくなるような状況になってしまった。
 自分に自信を持って桂さんとお付き合いしていたつもりだっただけに、それが自分だけだったのか、想われていなかったのか、愛されていなかったのかと一度不安を覚えると、その自信が崩れるのもあっという間のこと。
 鬼切りの仕事の最中は雑念を捨てて、仕事に打ち込む。そうしなければ、命に関わるお役目だけに、一瞬の迷いが全てを壊しかねない、
 お役目にだけは真摯に向き合い、立ち回れると思っていた。だが、私はまだ未熟だった。
 鬼との持久戦となったとき、波打たぬ水面の如く、心を沈めて、ただひたすらに待つ。そうすることが当たり前であり、今までは自然とそれを成していたのだが、そんな少しの時間にも迷いは侵入してくる。
 それはほんの一瞬のことだったが、桂さんのことが頭をよぎってしまった。頭の中を掠めた映像は桂の笑顔。それがいつものように自分に向けられているものであれば、逆に励みとなったのだろうが、それが最近の出来事と噛み合ってしまうと、もう妄想に手がつけられなくなってしまう。
 それが一瞬であったとしても、その一瞬が生死を分かつ事さえある。
 その迷いが、抜刀するタイミングを遅らせ、鬼の爪が急所を掠めていくという事態を引き起こしてしまった。
 さすがにこの報告を重く受け止めた頭領、若杉葛に私は呼び出されるはめになってしまった。我ながら痛い失敗である。なぜならば、
「さぁ、原因を洗いざらい吐きなさい」
 にっこりと可愛らしい笑顔の裏にある、痛いところを抉るように攻撃してくる、獲物を見つけた・・・いやおもちゃを見つけたドSが牙を剥いて、容赦なく言葉攻めを繰り出してくるのだからたまったものではない。さらに言うなら、これは明らかなパワハラでもある。
 逆らおうものなら、「桂お姉さんに言いますよー」とか「桂お姉さんが悲しみますよ・・・」とか、あまりにも狡猾な方法で退路を断ちに来る始末。
 つまり最初から負け確定、いかに被害を小さく済ませるか、ということに尽きるわけで・・・ただ、たまには、本当にたまには相談に乗ってくれることもあるので、それに掛けてみようと、経緯を伝えると、
「それはとてもおもしろ、じゃなくて、二人の絆にとって由々しき事態ですね。お二人の結婚式で仲人をするのが私のささやかながらの夢なのですから!」
 明らかに自滅です、この上司を信じた自分の愚かさを呪うばかりです。
「全てはヘタレなことが問題であり、それ故にリードしてくれるような男性にないものを求めようとしている可能性があります!」
 バンッと机に掌を叩きつけるようにして、立ち上がると、
「これは烏月さんをイケメンに仕立て上げる必要がありますね」
 そう不安な言葉を発しながら、瞳をキラキラと無駄に輝かしつつ、ビシィッと人差し指を突きつけると、
「私が烏月さんを桂さん好みにしてみせます!」
 その力強い言葉に、目の前が真っ白になるような、軽く私の思考が逃げ出したくなるほどの不安だけが押し寄せてくるのでした。







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