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無事じゃないけど、入稿しました。
一回原稿UPしなおせ(^^ って連絡が来ました・・・・

スペースは 3日目 東マ-34a
売り切れることは、ありえませんので、買い物を終えた後にお寄りいただければ幸いです!

表紙が今回頼めなかったので、シンプルすぎる表紙ですが、なにとぞ一つ。

結果的に、ケイウヅ になりました。
下記は新刊サンプルです。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ホームルームで配られた一枚の用紙。
その用紙が配られると、教室内が少しざわめきだしていた。
周りの席の子に「どうする?」とか「私はねー」とか、話し合う声が飛び交いだしているのだ。
類に漏れず、桂の隣からひょいっと陽子の顔が現れた。
「はとちゃんは決まってるの?」
 陽子は手にもった用紙をぴらぴらと振ってみせる。
「うーん、ぜんぜん決まってないっ」
 自分の氏名を記入する枠と、それとは別に三つの枠が用意された用紙を見つめて、桂は難しい顔をしていた。
「はとちゃん、進路に困ったら私の嫁になれば問題なしよ!」
 そう言いながら、両手を広げて「今でもOKよ?」といつでも受け入れられるわとアピールしていた。
「同じようなことを柚明お姉ちゃんも言ってたよ」
 冗談の中に隠された本音を見抜けるほど、桂は鋭いわけではない。むしろ天然の桂にそんな駆け引き自体がナンセンス。自然にただの冗談として処理されてしまっている。
「進路かぁ」
 配られた用紙には『進路調査』と記載されていた。
「陽子ちゃんは決まってるの?」
 広げた手の行き所を無くしていた陽子は、桂のその言葉に乗っかって腕を引っ込める。
「あるよ! はとちゃんのお婿さん兼お嫁さん!」
 と腕を広げるのはダメだと学習したのであろう、今度はこっちから行くよとばかりに桂に抱きつこうとしたが、
「まだホームルームですわよ」
 桂の背後から凛の腕が陽子の頭をがしっと捕まえて、それ以上の進攻を妨害する。
「ぐむむ、お凛! 邪魔しないでっ!」
 ホームルームと言われた影響だろうか、声は控えめにして妨害してきた腕を払いのける。
「私の進路は決まっていますわよ。奈良さんを囲って、可愛がってあげることですわ」
 遠目から見たら、美人が冗談を言いながら微笑んでいるように見えるのだろうが、近くで見ると目がまったく笑っていなかった。
「陽子ちゃんが可愛いのが仕方ないのだろうけど、私の愛ははとちゃんに捧げる分しかないのよっ」
 いつもの二人のコントを視界に捕らえながら、桂は再び用紙に視線を落とす。
「進路・・・か」
 うーん、と小さく唸りながら、思案に暮れていた。
 放課後、陽子たちと別れた後、桂はひとりホームルームでの考え事の続きをしていた。
 よくよく考えてみると、すでに働いている人や自分の進むべき道を歩いている人が周りに多い。
 むしろ、運命が定められている人たちが、その運命を受け入れて強く生きている。
「烏月さんは進路とか決めることはできなかったのかな」
 その強く生きている人の中に、桂の想い人がいる。
 私達が学校で授業を受けているときも、家でご飯を食べているときも、布団の中で自分に都合のいい夢をみているときも、烏月は命を賭けてお役目を果たしている。
「役に立てる仕事・・・とかいいかも」
 と、考えていたが、
「そういえば、経観塚での烏月さんは知っているけど、それ以外のお役目はみたことがなかったなぁ」
自分を守るために戦ってくれた、その勇姿は知っている。だが、それは今までにこなして来たお役目の一つに過ぎないのだろう。
 経観塚での出来事を考えれば、一振りの刀で誰にも気づかれることなく、人の営みを守っている。その結果は陽に出ることはないのだろう。
「私だけでも、その活躍を認めてあげないとね」
 うんうん、と頷いていると、いつの間にかアパートの前に到着していた。
「進路はお姉ちゃんにも相談してみようかな」
 家で主婦のような生活をしている、社会人生活皆無の従姉に相談するのは悩ましいところではあるが、「意見」として聞く分には問題ないだろう・・・多分、と自分で考えた事ながら少し不安を覚える桂であった。
 
「桂ちゃんはお姉ちゃんのお嫁さんになればいいと思うの」
 予想通りの反応に、桂は苦笑するしかなかった。
 夕飯を取りながら、進路について柚明に相談したのだが、真顔で即答されてしまった。
「柚明お姉ちゃんに甲斐性があった上で、ならまだ議論の余地はあるけどね・・・」
「そ、それを言われるとつらいっ」
 柚明の箸が止まり、ぐったりと項垂れる。
「別にお姉ちゃんを責めてるわけじゃないからね。はい、あーん」
 さすがに同じ屋根の下で生活していれば、柚明のあしらい方もうまくなるというもの。自分のおかずを一つ箸で摘んで、柚明の口元へ運んでやると、
「あーん♪」
 と、あら不思議。それだけで機嫌が元通りになっている。
 そして、この機嫌のいい時なら、多少は自分の想いを出してもばれ難い。
「できれば、経観塚でお世話になったみんなの力になれるような仕事がいいかなって思ってるの」
 烏月というキーワードが出ようものなら嫉妬に加えて、自分の良いところアピールで、少なくとも一時間は潰されてしまう。遠回しに、それとなく伝えることが肝要。
「そうねぇ、みんな忙しそうだから秘書とか、荒事も多いからお医者様とかもいいかもしれないわね、あーん」
 雛鳥が親鳥から餌をねだるかのように、口を開いておねだりをする。
「どうせなら怪我をさせないように出来るほうがいいけど、ありといえばありね」
 また一つ、おかずを摘んで、雛鳥の口に入れてあげる。
「未然に防ぐとなると、同じか、それ以上の立場にならないとだめよね」
 雛鳥は自分の作った料理に特別な調味料、桂の愛情がこもっていると信じ込んでおいしそうに、それを噛み締める。
「同じ立場か、それ以上の立場か・・・」
 同じというと鬼切り役、以上となると鬼切り頭になる。鬼切り役は今からでも間に合うものなのか、上の立場となればもっとなれそうな気がしないし、葛ちゃんがいるか・・・と考えていた。
 帰り道で考えていたみたいに、鬼切り役の仕事の一部しか知らないので、同じ立場というものの尺度が測れない。
「これはひとつ、OJTするしかないかな?」
 そう雛鳥に聞こえないように呟いていた。
 
「というわけで、今日一日、鬼切り役に密着体験することになった桂お姉さんです」
 葛に紹介されて、
「羽藤桂です、よろしくお願いします」
 ぺこりと頭を下げて自己紹介をする。
「えっ!?」
 まさに寝耳に水。昨晩ラブラブなメールのやりとりがあったのに、そんな話はまったく出ていなかった。
「ちょっ!? 葛様、今回の任務の危険度は低いと思いますが、それでも桂さんには厳しいです」
 桂でなくとも危険な任務に素人を連れて行くことはできない、それが大好きな桂なら尚更だ。
「おやおや、経観塚で守りきったではないですか。あれに比べれば余裕でしょう?」
 葛は言いながら桂の方を見て、
「烏月さんは好きな人一人守れないのですか?」
 ねぇ、と桂に同意を求めるように首を傾げた。
「まっ、守るための最善の手段として、つっ、連れて行かないという選択を選んだまでです!」
 好きな人、というキーワードが烏月の照れの部分を直撃して、凛々しい鬼切り役の冷静さを完膚無きまでに砕き、顔を紅潮させる。
「はぁ~、頭の固い人ですねぇ」
 ため息をつきながら、桂の方へと向き直り、
「このへたれは、好きな人一人も守れないといっていますよ、桂お姉さん。こんなへタレは捨てて、私の妾になりませんか? 本妻はサクヤさんですけども!」
 首をすくめて、やれやれとオーバーリアクションを取ってみせる。桂もそれに乗っかり、
「烏月さんは私のことを守ってくれないの?」
 と瞳を潤ませて、上目遣いで迫ってみる。
 烏月も「うっ…」とその瞳に気圧されるが、
「そんなことを言ってもダメなものはダメです!」
 そういって瞳から逃れるようにそっぽを向いて抵抗するのであった。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
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